以下は、Verizon MediaのChief Business Officer、Iván Markmanによる寄稿の和訳です。(原文はこちら)
多くの変化を経験した2020年に続き、2021年はどのような変革や体験が待っているのでしょうか。
米国のトレンドを踏まえご紹介いたします。
バックミラーで見るように、過ぎ去った2020年を振り返って安堵感を感じますが、前例のない年の続編となる2021年はどのような驚きをもたらすのでしょうか?ワクチンの展開、経済の再開、業界の抜本的な変化など、さまざまな力が働いているため、今後の見通しを立てるのは困難かもしれませんが、2021年を成長と機会の年として示すいくつの傾向があります。
世界が楽観的に2021年を迎える中、今年のニューノーマルがどのようなものになるのか。私たちはまた別のユニークな体験をすることになるでしょう。何を期待すべきか、そしてさらに重要なのが、この状況をどのように乗り越えていくのか、いくつかの観察と考えをご紹介します。
アドテックが再びブームに
公開企業の予想を上回る結果とともに、ウォール街でのアドテックの人気が再燃しています。 また、非公開企業の好業績もみられ、前半で低水準に落ち込んでいたM&A活動は回復を果たしました。何が起こっているのでしょうか?
実は、さまざまなことが起こっているのです。コードカッティングとコネクテッドTV の普及が記録的なペースで伸びていることが、リニアTVからアドバンスドTVへの予算の流れを後押ししています。DOOH広告のデバイスがより多くの場所に設置されるようになり、各都市でロックダウンが徐々に解除されるにつれて、オムニチャネルバイイングの機会が拡大していくでしょう。そして、あらゆる形態のeコマースが急増していることから、2021年以降のキャンペーンをより効果的なものにするためには、より簡素化されより効率的なキャンペーンの実施が求められています。
プライバシーを重視したソリューション
ウェブブラウザの設定変更、消費者のプライバシー設定、グローバルな法律規定まで、ブランド各社がこれらを遵守しながら有意義かつ効果的にオーディエンスと関わり合うことは、日々ますます困難になっています。
マーケターとパブリッシャーは、消費者のプライバシーを尊重し、優れた消費者体験を維持しながら、アイデンティティのギャップを埋め、ビジネスを成長させるソリューションを必要としています。所有データ、同意に基づき取得したデータ、クロスチャネルで連携したデータ、ファーストパーティデータなど多様なデータを使いアイデンティティグラフを構築してきた業界のリーダーは、マーケターがCookieの代替となるID、ターゲティング、および測定ソリューションを活用するのに最適な立場にあると言えます。
今年一年、市場でテストおよび検証されるIDソリューションにぜひ注目してみてください。
全てが繋がるオムニチャネルメディアジャーニー
パンデミックのかなり前から、消費者はストリーミングサービスに寄り合っていました。今は、間違いなくCTVが広告販売の中心となっています。SVODサービス(subscription video on demand)間の競争は、TVアップフロント(TV広告先行販売)離れを生み出し、AVODサービス (advertising-based on demand)への移行を継続的に促進しています。実際、2021年には、サブスクリプションベースのサービスで広告付きのハイブリッドモデルがテストされる可能性があります。
そして、それはテレビ画面の中に限った話です。DOOH(屋外デジタル広告)は、外出意欲の高まりと、プログラマティックチャネルを介したDOOH広告在庫サプライの高まりにより、2021年は爆発的な人気を呼ぶと期待されています。ネイティブ広告、ダイナミック広告、AR、オーディオなどのあらゆる広告フォーマットを、オムニチャネルミックスで実施することで、広告主は多くの有意義な広告機会が得られ、無駄を減らした意思決定を行うことができます。
しかし、おそらく2020年に小売業ほど劇的な変化を受けた業界はないでしょう。買い物客の90%が実店舗への訪問よりも宅配を好んでおり、オンライン小売業者はそれに対応するために革新を進める必要があります。AR対応のeコマースが増えるだけでなく、期待を寄せる業界(ファッション、テクノロジー)とそうでない業界(医療、健康とウェルネス、食料品)で、よりリッチなフォーマットのインタラクティブ動画とダイナミックなオンライン店舗が見られることでしょう。
没入型エクスペリエンスの発展
ARとVRは、コンサートから授業まで、物理的な距離の隔たりを埋めるために使用されており、今後5Gサービスの拡大により、没入型XR体験を提供するためのより革新的なフォームファクターが実現されるでしょう。
スポーツの世界では、OculusのVRを使いユーザーを試合会場にバーチャルで移動させ、NBAの試合観戦を楽しんでいました。ファンがアリーナに行けるようになった後でも、バーチャルのスタンドから観戦する機会をなくす必要はありません。コンテンツ体験がクラウドのエッジで処理されることで、XRによって自宅にスタジアムが持ち込まれ、リアルタイムでインタラクティブなリプレイ機能や選手データ、試合が楽しめるようになります。
この種のデジタルタッチポイントは、2021年には標準化し、さまざまな対面体験を補足強化し、場合によっては対面体験に取って代わるものになるでしょう。
低遅延のクラウドサービスの強化
2022年には、スマートフォンの使用が世界のインターネット通信の50%を占めると予想され、そのモバイル通信の約80%が動画によるものと言われています。帯域幅や速度の増加に伴い、高品質のビデオコンテンツやサービス、体験に対する需要も高まるため、5Gの展開はその成長にとって重要な役目を担っています。その需要を満たすには、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)アーキテクチャが重要となります。
CDNは、ユーザーのネットワークエッジに近いデータセンターから動画コンテンツを共有そしてローディングします。これにより、単一のデータセンターからの送信遅延と負荷が軽減されます。高性能のビデオ体験と低遅延での配信を提供できるCDNテクノロジーにより、2021年には5Gのサービスが拡大するにつれてその需要が急増するでしょう。
アイデンティティ
2021年にCookieに代わるものは何でしょうか?Eメールです。オープンソースのIDとプロプライエタリのID間での戦いが激化する中、古き良きEメールはCookieの事実上の後継者となります。
オープンソースとは、壁に囲まれた庭から離れてアイデンティティをコモディティ化するようなものであり、理論的には素晴らしいと思います。しかし、このデータの品質、使用に関する「取り締まり」、そして潜在的な法規制などの懸念があります。
私たちは、オープンソースのデータとプロプライエタリなデータが並存し、消費者の直接的な同意と、プライバシーを中心とする方法で共有できる決定論的シグナルとの関連づけによって区別されたアイデンティティを有する2021年を見据えています。私たちは、独自のアイデンティティグラフを活かしたVerizon Media ConnectIDを構築しています。
5G革命が進む
アメリカ全土で5Gが利用できるようになったことで、変革的かつ没入型で魅力的にパーソナライズされた体験を提供するための環境が整いました。今後どのようなの大きな変化がもたらされるのかご紹介しましょう。
わずか一年で世界は大きく変わりました。2021年にはそれがより良いものになるよう再び変化を起こしましょう。